PKO活動


自衛隊 南スーダンPKO 

2016年11月 「駆けつけ警護」「任務遂行のための武器使用」付与

 2016.11.18 稲田朋美防衛相は南スーダンPKOに派兵する陸上自衛隊に、戦争法(安保法制)で新たに可能となった「駆けつけ警護」と宿営地共同防護の新任務付与を命令しました。 南スーダンPKOへの11次隊は陸上自衛隊東北方面隊の傘下にある第9師団を中心に編成され、11月20日、第1陣の130名が青森空港を出発しました。


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南スーダン:
 面積は日本の約1.7倍。人口1200万人。20年以上に及ぶスーダン内戦が2005年に終結。11年に7月にスーダンから分離独立。2013年12月に内戦が始まり、何度も停戦合意が交わされるが履行されず。
2015年8月に和平協定が調印され暫定政府が発足するも、「武力紛争が継続」(15年11月23日の国連事務総長特別報告)している。

 国連南スーダン共和国ミッション―UNMISSに参加している軍事要員は総数で1万1892人、派遣自衛隊員数は353人参加している。(2015.12末現在)

南スーダンの状況 開示された日報 

「駆けつけ警護」:PKO要因やNGO(非政府組織)関係者が襲撃された際に救護に向かうこと。
          離れた場所で襲撃された他国軍兵士や国連職員、NGO職員らの救出に向かうこと。

宿泊地共同防御:宿営地が襲撃された際に他国軍とともに対処すること。
         武器を使用して他国軍と共同で宿営地を守ること。



現地で活動している JVC 日本国際ボランティアセンター ホームページ リンク
         
2016.2.5 南スーダン・自衛隊の「駆けつけ警護」は問題だらけ

2016.3.29 日本が紛争の加害者になる

2016.7.21 戦闘激化の南スーダン・自衛隊はPKOは駐留してもいいのか




PKO協力法【ピーケーオーきょうりょくほう】
〈国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法津〉(1992年公布・施行)の略称。
国連総会、安全保障理事会の決議にもとづく平和維持活動(PKO)や人道的な国際救援活動を行うことを目的に、停戦合意、紛争当事者の受入れ同意、中立、独自判断による撤退、隊員の生命・身体防護に限定した武器使用の5条件を前提として、自衛隊員・部隊を派遣し、平和維持軍(PKF)本隊に自衛隊の部隊が参加する場合は国会の事前承認を要することなどを定める。

PKO参加5原則

 わが国が国際平和協力法に基づき国連平和維持活動に参加する際の基本方針のことで、下記の5つを指し、それぞれ国際平和協力法の中に反映されています。

1)紛争当事者の間で停戦合意が成立していること
2)当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊へのわが国の参加に同意していること。
3)当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
4)上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
5)武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。

PKO法は、自衛隊の任務は停戦状態(戦闘の無い)で活動するもので、紛争が勃発した場合撤収することを前提とした法律です。

戦争法(安保法制)による自衛隊PKO活動の拡大

国連PKOの任務はこの20年間で大幅に変質し、中立性がそこなわれ、自らが紛争当事者になっています。安倍政権が強行した戦争法の一部、改定PKO法は、国連PKOの危険な変質をそのまま実行する内容を含んでいます。

国際平和維持活動(第3条1号)に追加
紛争による混乱に伴う切迫した暴力からの住民の保護

国際平和協力業務に新設された「業務」(第3条5号 ト)(安全確保活動)
防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護

武器使用権限の拡大 (26条)
従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己若しくは他人の生命、身体若しくは財産を防護し、又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、・・実施計画に定める装備である武器を使用することができる



武器使用基準が従来の「自己保存」から「任務遂行・妨害排除」に

 改定PKO法は、国連PKOが混乱状態の中で住民を「保護する責任」にもとづき武力勢力の制圧を辞さない活動に乗り出します。
 自衛隊による「住民の保護」を規定し、その対応として「特定の区域の保護のため」、自衛隊が「監視。駐留、巡回、検問及び警護」をし、その任務を妨害する勢力が現れた場合には、妨害排除・粉砕のための「武器使用」が行われます。
 一定の場所で特定の場所を監視・巡回し、怪しい者は引きとめ尋問(検問)し、危険が生じれば武器を使う(警護)という保安活動です。一歩間違えば、掃討作戦になってしまう危険性があります。

交戦の危険が増す安全保安活動

たとえば 自衛隊が巡回中に襲われた とすると

従来の「自己保存」だと

まずは「巡回」任務は中止して退避。自分と自分の「管理下」にある他人の生命を守るために「必要最小限」の武器使用をします。

改定された「任務遂行」「妨害排除」だと

巡回の「任務遂行」ですから、妨害勢力を排除するために積極的に応戦・攻撃をおこない、必要なら相手を殲滅(せんめつ)します。
 自衛隊が任務遂行と一体に武器使用するもので、軍隊としての組織的・計画的な武器使用、武力の行使となります。

南スーダン  停戦状態なのか?

UNMISS=国連南スーダン派遣団

「南スーダンミッションの任務見直しに関する国連事務総長の特別報告」2015.11.23

「停戦違反と、和平合意実施の準備段階のために決められた当初期限を当事者たちが守れなかったことは、彼らの和平プロセスへの誓約及び彼らの実施に関わる政治的支持に懸念を持たせる」「武力紛争が続き、その結果としてUNMISS、人道関連要員、国内避難民の移動の自由がない状況が続いている」
( 停戦違反が続いていること、当事者たちは平和的解決の意思を持っているかどうか疑わしいこと、そして武力紛争が続いている)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)と南スーダンPKO――UNMISSが発表した報告書「南スーダンの長期化する紛争下での人権状況」2016.1.21

「2013年12月の暴力勃発から約2年、情け容赦ない戦闘とその多方面にわたる影響が続いており、民間人全体の人権と生活条件に対する重大な衝撃を与えている。…加えて、国連の要員、施設、人道物資を狙った攻撃が続いており、2013年12月以来、34人の国連要員、3人の現地要員、1人の現地契約者の命が犠牲となった」
 「政府軍と反政府軍の2014年1月23日の停戦合意、両者による2014年5月9日の再確認、および(2015年8月下旬の)『和平合意』の実施の一環としての停戦合意にもかかわらず、戦闘は続いている」
 「紛争当事者たちは礼拝所や病院といった伝統的な避難場所、そして時として国連の基地まで攻撃しているので、紛争地域で安全な場所はきわめてわずかになった」

南スーダンに関する専門家委員会の国連安保理の議長への書簡 (2016年9月19日)
 7月11日、ジュバで、多数の政府軍が、広範な略奪行為を働き、反政府軍との戦闘の終結の「お祝い」を行った。略奪中、80~100人の制服兵士の軍が、国際機関のスタッフの居住区画であるテレイン・ホテルを荒らしまわった。4時間の間に、兵士たちは、多数の居住者を殴打、虐待し、少なくとも5人の国際援助職員と、人数は不明だがそこで働くスタッフを、レイプかつ集団レイプし、NGO『インターニュース』のヌエル族のスタッフのジョン・ガトラスクを、彼の同僚たちの前で、特定部族・民族を標的とした殺害行為として、処刑した。兵士たちは、一つひとつの部屋を破壊し、この敷地を広範に略奪してまわり、25台以上の車両を盗んだ。行われた暴力の程度、武力行為への参加者の多さ、盗まれた物品の多量さ、敷地内に広範に行われた系統的被害を考慮すると、専門家委員会は、加害者らによって襲撃はよく組織されたもので、偶発的な暴力・略奪とは考えられない、と結論づけた。さらに、同攻撃は、国際人道支援の要員に対する南スーダン兵士によって行われた残虐性のレベルという点で、明白な転換点だ。
 7月のジュバでの戦闘を境に、(南スーダン政府軍による人道支援の職員を標的にした)こうした行為(襲撃)は、その激しさおよび規模において、エスカレートしている。

南スーダンに関する専門家委員会の国連安保理の議長への書簡 (2016年11月15日)
 持続的、組織的な地位協定への違反が続いており、9月だけで19の違反があった。大半は国連に対する移動制限であり政府軍とかかわる民間人および武装集団によるものだった。
 政府軍は、紛争と人権侵害が報じられた地域へのパトロールを繰り返し禁止し、恒常的にUNMISSの任務遂行を妨害している。例えば、政府軍は4月と9月、数々の人権侵害を含め治安状況の劇的な悪化を検証するためイェイ地域に入ることを繰り返し試み、公に要請したにもかかわらず許可しなかった。

8月12日~10月25日の期間に関する国連事務総長の南スーダン報告 (2016年11月10日)
 この期間、UNMISSは46件の地位協定違反を記録した。うち29件は、任務遂行中のUNMISS要員と契約スタッフに対する移動妨害だった。違反事案は、UNMISSの要員と施設への攻撃、〔国連の〕ラジオ・ミラヤの放送への検閲の試み、UNMISSのスタッフが南スーダンに入国するための新たな条件の押し付け、国連の財産の接収、飛行および地上での活動への干渉などである。その他、UNMISSの要員に対する逮捕、拘束、迫害、襲撃、脅迫などがある。

JVC 日本国際ボランティアセンター 2016.7.21

 自衛隊がPKOで派遣されている南スーダンの首都ジュバで激しい戦闘が発生しました。今月7日に始まった銃撃戦で270人以上が死亡しています。しかし民間人の犠牲者の実数はもっと多いと言われています。4万人もの避難民が出ており、食品店が略奪を受けたり、物資輸送が検問で止められたりしており、食料不足も憂慮されます。11日に敵対する大統領派と副大統領派の双方から停戦命令がでましたが、兵士同士の衝突や略奪行為が今後も起こる可能性があり状況は予断を許しません。


政府の認識は  かい離する政府の答弁

2016年2月4日 首相答弁
 また、この業務を行うに当たっては、(PKO)参加5原則が満たされており、かつ派遣先国および紛争当事者の受け入れ同意がわが国の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されると認められる必要があるわけでありまして、すなわち、国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないことが前提となっております

 中谷元・防衛相 2016年2月4日
 現状としては、南スーダンにおいては、反政府勢力、これは系統立った組織を有しているとはいえない。また、反政府勢力による支配が確立をされるに至った領域、これがないということ、そして南スーダン政府、反政府勢力双方ともに、国連の安全保障理事会を含む国際社会からの敵対行為の停止を求める働きかけに応じまして、協議を行って、敵対行為の停止について双方が合意に達するなど、以前から事案の平和的解決を求める、こういった意思を有しているということを考えまして、現状におきまして、派遣の前提となる5原則、これは維持をされておりますし、活動しておりますジュバ、こういったジュバの状況におきましては、平穏であるというような報告を受けております。引き続き現地情勢については緊張感をもって把握してまいりたいと思っております。

 岸田文雄外相 2016年2月4日
 昨年8月の合意文書のこの署名以後の動きについてご指摘がありました。それ以後、8月以降の動きにおきましても、わが国としましては、この合意の履行に向けて取り組みは続いていると認識をしております。現に今年1月の段階においても、この合同監視評価委員会が立ち上げられ、そして会合が開催される、こうしたことも報告されています。さらにはですね、合意文書にしたがって、国民統一暫定政府の閣僚ポストの配分、これも決定されております。こうした動きを見る限り、この8月の合意文書の署名以後も、この政府側と反政府側の間でこの合意履行に向けて取り組みが続いていると認識をしております。
 政府としましては、さまざまな文書、情報に接し、情報収集、分析に全力で努めております。そして従来から、この実力を用いた争いがPKO法上の武力紛争に該当するか否かについて、この事案の対応、当事者およびその意思等を総合的に勘案して、個別具体的に判断すべきである、こうした考え方を示しております。
 先ほど申し上げました、合意文書の署名、8月の合意文書の署名以降の動きももちろんでありますが、政府としましては、この現地に派遣されている要員からの報告、そしてわが方の大使館、そして国連からの情報、こうしたものを総合的に勘案して、この状況を判断しております。その上において、武力紛争が発生しているとは考えていないと申し上げているしだいであります。


憲法違反ではないのか?

2016.2.4 首相答弁 
 国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないことが前提となっています。このため、いわゆる任務遂行型の武器使用を認めたとしても、自衛隊員が武力の行使を行ったと評価されることはない、このように思っております。

南スーダン政府軍による国連南スーダン共和国ミッション(UMNISS)への攻撃

2015年4月14日~8月19日UMNISSに対する危害行為・攻撃102件のうち92件は、政府軍・治安部隊によるもの。

○4月29日、5月7日、7月27日の3回にわたり、ユニティ州ペンティウのUMNISSの基地と国連の住民保護区のすぐ近くで政府軍が対空射撃を行い、保護を求めてきた住民5人が負傷。
○6月27日、ポルの北21キロで政府軍兵士がUMNISSのはしけに15~20発の砲撃。
○7月5日、2人の政府軍兵士がベンティウの国連の住民保護区に侵入し発砲、1人を殺害。
○7月9日、マラカルの南で政府軍がUMNISSのはしけ船団をロケット弾と重機関銃で攻撃。

出典:2015.8.21付「南スーダンに関する国連事務総長報告」 国会資料から

最悪の場合、自衛隊が南スーダン軍と交戦する可能性があり、そうなると主権国家との交戦となります。憲法が禁止する海外での武力行使となります。

憲法9条をもつ日本の国際貢献

日本の貢献は、憲法9条に立った非軍事の人道支援、民生支援に徹するべき

 今日、国連PKOが「住民保護」のために断固たる武力行使が求められるPKOへと大きく変化していること、そして南スーダンPKOもその典型的な一つです。今日の国連PKOは、憲法9条を持つ日本の自衛隊が参加できる活動ではなっています。
 もちろん、住民が深刻な人道的危機にさらされているときに、国際社会がその保護のための責任を果たすことは必要です。しかし、南スーダンでも国連の活動はPKOだけではありません。各国のNGOと協力して、難民支援、食料支援、医療支援、教育支援、児童保護など、さまざまな人道支援に取り取り組むなど、日本は憲法9条をもつ国として、こういう非軍事の人道支援に積極的に取り組んでいくべきではないでしょうか。

国連の人道支援の機関

① 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
② 国連児童基金(UNICEF)
③ 世界食糧計画(WFP)


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