立憲主義ってなに?   憲法は政府を縛る手綱

 立憲主義とは、一言で言えば「憲法に基づく政治」です。国民が主体となって憲法を制定し、人権を守るためにその憲法で権力を制限する仕組みです。「議会の多数決によっても憲法に反する政治はできない」立憲主義は近代政治の根本原則であり、これが破壊されれば、多数政党による独裁政治です。

 日本を含め世界の国々では国家権力(内閣)が暴走し、国民の権利・自由を侵害することが行われてきました。その最たるものが戦争です。その教訓から、国家権力を制限して国民の権利・自由を保障しようという考えが生まれました。これが立憲主義です。
 立憲主義にもとづいて国家権力の基本的なありかたを決めている法規範が、立憲主義憲法で、日本国憲法は立憲主義の憲法です。

 国家権力(内閣)が守らなくてはいけない法律、それが憲法なのです。たとえて言うなら、馬のたづな、犬の鎖、動物園のおり というところでしょうか。

 憲法の条文は簡潔なので、どのような意味があるのかは解釈が必要です。長年にわたり条文を論議し認めてきた解釈に基づいて、国家権力は憲法に縛られて来ました。

 憲法9条のもとで『集団的自衛権は憲法上、認められない』としてきたこれまでの憲法解釈を、国家権力(内閣)が変更するということは、憲法を守らなければいけない内閣が、自分の都合のいいように法律をかえるということを意味するのです。

 たとえどれほどの多数を得た政権・与党も、憲法の枠内で政治を行うのが立憲主義です。 

7月26日、磯崎陽輔 首相補佐官が大分市内でおこなった講演で、「法的安定性は関係ない」と発言して問題になりました。 立憲主義を否定する暴言だからです。

憲法9条を読んで、自分で解釈してみましょう。そして自分の解釈と内閣の解釈をくらべてみましょう。

今までの政府見解

 集団的自衛権に関する政府の説明は、次のようになっていました。

 「国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有するとされている。わが国は、主権国家である以上、国際法上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、わが国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することは、憲法第9条のもとで許容される実力行使の範囲を超えるものであり、許されないと考えている」(『防衛白書平成24年版』)

 結論的に簡単に言えば、例えばアメリカが武力攻撃を受けても、日本が受けていなければ、日本は武力行使できないということです。

●集団的自衛権とは

 集団的自衛権は、「他国が武力攻撃を受けた場合、被害国を援助し、共同してその防衛に当たる権利」と定義されます。自分の国が攻撃されていないにもかかわらず、他国が攻撃された場合に、その他国を守るために武力を行使する権利です。当然に認められてきたものではなく、1945年調印の国際連合憲章(51条)によってはじめて創設されたものです。
 武力攻撃が発生した場合に、安保理が必要な措置をとるまでの間の権利として集団的自衛権を認めたのです。
日本政府は、集団的自衛権について、主権国家である以上これを有しているのは当然としています。しかし、徹底した平和主義を掲げる日本国憲法のもとでは、他国に加えられた武力攻撃に反撃する集団的自衛権の行使は、国連憲章上は許されていても憲法上は許されないと考えられますし、政府もこれまで同様に考えてきました。

みずから手綱を噛み切った安倍政権

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 本来であれば、手続きとして、日本が集団的自衛権を有するには、憲法を変えなければならないことです。とりわけ憲法第9条を。しかし安倍政権は憲法を改正せずに、こじつけの「解釈」で集団的自衛権を行使しょうとしています。
 このことは、政府の暴走であり、「議会で過半数を取っている」という多数決の論理とは違う話なのです。

 政府が守らなければならない憲法という手綱・鎖がはずれたら、いや、自ら断ち切ったら、それは「俺が法律だ!」となります。
 「『あなたは近代以前の王様のつもりか?]と問いたいほど」「超えてはならない線をこえた」とTBSのニュースキャスター(岸井成格氏、18日夜)が指摘しましたが、この立憲主義の逸脱は、国民主権・民主主義も否定する行為なのです。
 「独裁者」「独裁政治」といわれるゆえんがここにあります。

 国民が徴兵制についての不安を持ったとき、「憲法18条の意に反する苦役にあたいするから、それはない」と言っていましたが、石破地方創生担当相は2002年の憲法調査小委員会で「徴兵制は憲法18条で禁じている奴隷的拘束、意に反する苦役だと思わない」発言しています。
 ここまで来ると、今の政府は「憲法解釈」によって、自分の意のままに走る「暴走車」です。

 このような政府の行為にたいして、憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と国民の「抵抗権」を規定しています。


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